特集 ─ 平成16年
2004
全国のホールから、
70万台が消えた年。
10月23日、新潟県中越地震。8月にはアテネ五輪が開催され、競泳の北島康介がインタビューで発した
「チョー気持ちいい」がその年の流行語大賞になった。プロ野球では近鉄とオリックスの合併問題が
球界再編問題に発展し、11月には新紙幣も発行された——2004年の日本は、揺れながらも前に進もうと
していた年だった。だがホールの中は、それ以上に大きく揺れていた。1月、パチスロの検定基準が
さらに強化され、以降に登場する新台は『4.7号機』と呼ばれるようになる。そして7月、遊技規則の
改定にともない、いわゆる『社会的不適合機』約70万台が全国のホールから自主的に撤去された。
4号機黄金期の終わりが、はっきり見え始めた年である。それでも12月、ビスティの
『CR新世紀エヴァンゲリオン』が登場し、以降のパチンコ業界を長く支配する『版権タイアップ機』の
時代の号砲を鳴らしていた。
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第一章
70万台が消えた年に、何が起きていたか
2004年のホールは、4号機黄金期の終わりの始まりを迎えていた。1月、パチスロの検定基準が
さらに強化され、以降に登場する新台は「4.7号機」と呼ばれるようになる。技術介入や設定判別で
大きな出玉を生み続けてきた4号機の時代に、はっきりとした区切りがつき始めていた。
そして2004年7月1日、14年ぶりとなる遊技規則の改正が施行された。いわゆる「社会的不適合機」
約70万台が全国のホールから自主的に撤去され、射幸性の高い4号機後期の顔ぶれが一気に床面積から
消えた。同じ改正で、のちに「5号機」と呼ばれる新しい基準の骨格も示される——出玉性能を長く支えてきた
技術介入やストックの時代に、はっきりと終わりの線が引かれた瞬間だった。出玉に慣れ親しんだ
プレイヤーにとっては、ホールの風景そのものが変わる転換点だった。
それでもパチスロでは平和の『主役は銭形』、ロデオの『カイジ』のような新しい人気機が登場し続けている。
銭形は押し順ナビ通りに打てば711枚がほぼ確定するわかりやすい爽快感で発売台数10万台超の
ヒットとなり、カイジは盤面中央の大型液晶と「ざわ……ざわ……」という演出で原作ファンを
引きつけた。SANKYOはこの年、『ボンバーパワフル』でパチスロ市場に本格参入している。
パチンコでは12月、ビスティの『CR新世紀エヴァンゲリオン』が登場する。「暴走モード」
「レイ背景」「格納庫背景」などシリーズ定番演出を初搭載し爆発的ヒットとなり、以降の
パチンコ業界を長く支配する「版権タイアップ機」の時代の号砲を鳴らした記念碑的な一台になった。
4号機黄金期の終わりと、版権タイアップ機時代の始まり——2004年は、パチンコ・パチスロ業界の
二つの時代がすれ違った年だった。
約70万台が消えた年に、たった一台のタイアップ機が、
次の10年のホールの姿を決定づけていた。
第二章
ホールの中で、世の中で
1月
フィーバージャングルガール(SANKYO)ほか、この月導入は39機種
パチスロの検定基準がさらに強化。以降の新台は「4.7号機」と呼ばれるように
2月
海賊(ビスティ)、フィーバーロード・オブ・ザ・リング(SANKYO)ほか48機種
─
3月
アクアパラダイス(SANKYO)ほか53機種
3日、SNS「mixi」正式サービス開始/14日、2ちゃんねるに『電車男』最初の書き込み/バンダイ「たまごっちプラス」発売
4月
この月導入は44機種
28日、平井堅「瞳をとじて」発売
5月
主役は銭形(平和)、南国育ち(オリンピア)、フィーバーマジックパーティー(SANKYO)ほか44機種
映画『世界の中心で、愛をさけぶ』公開(主題歌:平井堅「瞳をとじて」)
6月
フィーバー天竺(SANKYO)ほか47機種
9日、ORANGE RANGE「ロコローション」発売
7月
フィーバーネオクィーン、CRフィーバークィーン2(SANKYO)ほか44機種
1日、遊技規則改正施行/「社会的不適合機」約70万台が全国のホールから自主撤去/TBS系ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』放送開始
8月
この月導入は46機種
アテネ五輪開催。競泳・北島康介の「チョー気持ちいい」が年間流行語大賞に
9月
フィーバーじゃんけんバトル(SANKYO)ほか25機種
─
10月
新海物語スペシャル(三洋物産)、フィーバー大ヤマト2系ほか39機種
20日、ORANGE RANGE「花」発売/22日、『電車男』単行本発売/23日、新潟県中越地震
11月
フィーバー大ヤマト2(SANKYO)ほか35機種
新紙幣発行
12月
CR新世紀エヴァンゲリオン(ビスティ)——版権タイアップ機時代の号砲ほか31機種
2日、ニンテンドーDS発売/12日、PSP発売
通年
P-WORLD新台スケジュールで確認できた計488機種(パチンコ397・パチスロ91)。ボンバーパワフル、カイジなど
NHKで韓国ドラマ『冬のソナタ』が社会現象に。「ヨン様」ブーム
第三章
この年の音 ── 2004年のヒット曲/オリコン年間シングルランキングTOP12
瞳をとじて / 平井堅 ── 年間1位・約83.4万枚。4月28日発売。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』主題歌。オリコン週間最高は2位ながら年間では1位になった。
Sign / Mr.Children ── 年間2位・約74.9万枚。5月26日発売、ドラマ『オレンジデイズ』主題歌。初週37.0万枚は2004年発売シングルで最高の初動。日本レコード大賞受賞。
Jupiter / 平原綾香 ── 年間3位・約67.5万枚。2003年12月17日発売。ホルスト『惑星』第4楽章「木星」の旋律に詞をつけた楽曲で、ロングセラーの末に累計100万枚を突破した。
花 / ORANGE RANGE ── 年間4位・約66.1万枚。10月20日発売、バンドを代表する大ヒット。
掌/くるみ / Mr.Children ── 年間5位・約65.1万枚。2003年11月19日発売の両A面シングルで、前年発売ながら2004年の年間ランキング上位に入った。
かたち あるもの / 柴咲コウ ── 年間6位・約59.1万枚。8月11日発売、TBS系ドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』主題歌(映画版の主題歌は同年の「瞳をとじて」)。
ロコローション / ORANGE RANGE ── 年間7位・約48.7万枚。6月9日発売。
君こそスターだ/夢に消えたジュリア / サザンオールスターズ ── 年間8位・約45.2万枚。2004年7月21日発売。映像はサザン公式MV。
桜 / 河口恭吾 ── 年間9位・約43.0万枚。2003年12月10日発売。ロングセラーでこの年のチャート上位に残った。映像は河口恭吾チャンネル。
さくらんぼ / 大塚愛 ── 年間12位・約40.5万枚。2003年12月17日発売。映像はavex公式。年間10位のゴリエ「Mickey」は公式と呼べるMVが見つからなかったため、隣接順位の本曲を掲載。
誰かの願いが叶うころ / 宇多田ヒカル ── 年間14位・約36.5万枚。2004年4月21日発売。映像はHikaruUtadaVEVO。
READY STEADY GO / L'Arc〜en〜Ciel ── 年間18位・約31.0万枚。2004年2月4日発売。アニメ『鋼の錬金術師』オープニングとしても広く知られた。映像はラルク公式。
動画はYouTubeの公開プレイヤーをそのまま埋め込んでいます。再生できない場合は動画側の設定によるものです。売上はオリコン年間シングル(2004年)に基づく。年間10位「Mickey」(Gorie with Jasmine & Joann)は公式MVが見つからず未掲載。
第四章
この年の台
2004年にP-WORLD新台スケジュールで確認できたパチンコ・パチスロは合計488機種(パチンコ397・パチスロ91)。上段は話題性の高い機種を個別カードで掲載し、下段は同じ495機種の全機種一覧(月順・パチンコ/パチスロで絞り込み可)。動画はタイトル一致・サムネ実在を確認できたものから順に付けている。
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パチンコ ─ CR機(版権タイアップ)
CR新世紀エヴァンゲリオン
ビスティ(12月)
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とのタイアップ機。「暴走モード」「レイ背景」「格納庫背景」などシリーズ定番演出を初搭載し、爆発的ヒットに。以降のパチンコ業界を長く支配する「版権タイアップ機」の時代を決定づけた記念碑的な一台。
調べたこと
大当り確率は型式により1/262.1〜1/496.5、確変時1/45〜1/49.6、賞球3&5&10&15。
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パチスロ ─ 4.5号機
主役は銭形
平和(5月)
4.5号機Aタイプの大量獲得機。押し順ナビ通りに打てばビッグボーナスでほぼ711枚を獲得でき、獲得枚数が711枚未満だとシフト持ち越しでBIG連チャンが確定する仕様が話題を呼び、発売台数10万台超のヒットになった。
調べたこと
機械割 設定1で95.1%〜設定6で115.3%。
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パチスロ ─ 4.7号機
カイジ
ロデオ
漫画『賭博黙示録カイジ』『賭博破戒録カイジ』のタイアップ機、4.7号機。パチスロ史上初とされる盤面中央の大型液晶と、暗転画面に「ざわ……ざわ……」の文字だけを映す演出で、原作の空気をそのまま持ち込んだ一台。
調べたこと
4.7号機。ボーナス確率はBIG・REGとも設定1で1/214.9〜設定6で1/211.4。メインリールは3リール13コマ・最大2コマスベリ、液晶の擬似リールは9リール8ライン。設置期限は2007年8月15日。
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パチスロ ─ A400タイプ
ボンバーパワフル
SANKYO
SANKYOがパチスロ市場に本格参入した第一号機。A400タイプのストック機で、パチンコで培った演出づくりのノウハウをスロットに持ち込んだ一台。
調べたこと
BIG確率 設定1で1/343〜設定6で1/224、REG確率 設定1で1/412〜設定6で1/297。
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パチスロ ─ 沖スロ
南国育ち
オリンピア(5月)
沖縄の島唄と海をイメージした、いわゆる「沖スロ」の定番機。ゆるい雰囲気とレギュラーボーナスでも光る仕様で長く愛され、のちに『南国育ちR2』『南国育ちSpecial』などシリーズ化された。
調べたこと
BIG確率 設定1で1/314〜設定6で1/230、REG確率 設定1で1/439〜設定6で1/292、機械割 設定1で94.1%〜設定6で113.3%。
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パチンコ ─ CRフィーバー機
フィーバー大ヤマト2
SANKYO(11月)
大当り確率1/496.5のCRフィーバー機。「大ヤマト砲」の発射演出など、SANKYOのフィーバーシリーズらしい派手な液晶演出が持ち味だった。
調べたこと
大当り確率は型式により1/399.6〜1/496.5、確変時1/40〜1/49.6、賞球3&5&10&15。
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パチンコ ─ CR機(映画タイアップ)
フィーバーロード・オブ・ザ・リング
SANKYO(2月)
映画『ロード・オブ・ザ・リング』とのタイアップ機。大当り確率1/350.5、アラゴルンリーチなど原作の名場面をリーチ演出に取り入れた一台。
調べたこと
大当り確率は型式により1/296.5〜1/350.5、確変時1/58.4〜1/84.7、賞球4&7&15。
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パチンコ ─ CR機
CRフィーバークィーン2
SANKYO(7月)
SANKYOの看板シリーズのひとつ「フィーバークィーン」の続編機。1997年の初代『フィーバークィーンJX』から続くドラムリール演出を受け継いだ。
調べたこと
大当り確率1/243.6(通常時)1/24.4 (高確率時)、確変突入率100%/7回転まで、15R×10カウント、賞球6&7&15、出玉約2100個、電サポ7回転。
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パチンコ ─ CRデジパチ
フィーバーじゃんけんバトル
SANKYO(8月)
SANKYOのオールスター機。液晶に32機種・52種類の歴代キャラが登場し、スーパーリーチでは「スーパーコンビ」のクルーンや「フィーバークィーンII」のドラムアクションを液晶上で再現した。液晶の枠がマスコットのドラムくんの形をしていて、その手が動いてじゃんけんをする。
調べたこと
大当り確率は型式により1/219.2〜1/348.6、確変時1/50〜1/78。
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パチンコ ─ CRフィーバー機
フィーバージャングルガール
SANKYO(1月)
ヒロインのミンキーとサルのキッキが暴れる密林もの。液晶の上に「滝」の役モノが載っていて、回転開始時に滝へ光が流れると連続予告の合図、最終回転で液晶にも滝が出れば大チャンスという二段構えだった。リーチは基本1ラインで進むが、突然2ラインへ移ると信頼度が上がった。
調べたこと
大当り確率は型式により1/296.5〜1/350.5、確変時1/58.4〜1/84.7、賞球4&7&15。
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パチンコ ─ 羽根モノ
アクアパラダイス
SANKYO(3月)
羽根モノ機。羽根で捕らえた玉を透明アクリル上に一旦とどめ、回転盤上の磁石で持ち上げていく変わった機構を採用。のちに続編『CRアクアパラダイスGP』も登場した。
調べたこと
羽根モノなので大当り確率という項目がない。賞球5&10、最高15R×10カウント、ラウンド振り分けは2R・5R・15Rが各1/3、最大貯留10個。現金機のDXとCR機のGPがあり、スペックは共通。
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パチンコ ─ 海物語シリーズ
新海物語スペシャル
三洋物産(10月)
『海物語』シリーズの三代目にあたる一台。マリンなど定番キャラクターと5ライン構成を継承し、シリーズが定着していく過程の一台となった。
調べたこと
型式により大当り確率1/315.5〜1/350.5(確変時1/63.1〜1/70.1)、15R×9カウント、賞球4&10&15、通常大当り後の時短100回転。
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パチスロ ─ 4.5号機(ストック)
海賊
ビスティ(2月)
2004年2月導入のストック機(P-WORLD上のメーカーはビスティ。一部資料ではDAIDO表記もあり)。BIG成立時に即放出/ストックが分かれ、BIG後は高確率で連チャンモードへ移行するタイプ。天井(ボーナス間およそ1000G前後)も搭載された、4号機後期らしい一台。※以前のページではメーカーをSANKYOと誤記していたため訂正。
調べたこと
REG確率1/431(設定差なし)、機械割 設定1で94.8%〜設定6で114.2%。
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パチンコ ─ CRフィーバー機
フィーバーマジックパーティー
SANKYO(5月)
盤面右側の木の精役物が特徴のCR機。JX(大当り確率1/350.5)とMX(1/309.5)があり、確変突入率1/2・確変は次回まで/リミッターなし、時短100回転付き。同年5月のSANKYOラインナップを代表する一台。
調べたこと
大当り確率は型式により1/309.5〜1/350.5、確変時1/58.4〜1/68.8、賞球4&7&15。
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パチンコ ─ CRフィーバー機
フィーバー天竺
SANKYO(6月)
西遊記モチーフの液晶デジパチ。暗転とひょうたんの煙で「天竺モード」へ入り、お釈迦様のお告げで信頼度が変わる語り系/ミッション系演出が話題になった。仏オーラの色(白→…→レインボー)で期待度が段階的に上がる仕様でも知られる。
調べたこと
大当り確率は型式により1/306.2〜1/344.9、確変時1/50〜1/68.8、賞球4&7&15。
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パチンコ ─ CRフィーバー機(ドラム)
フィーバーネオクィーン
SANKYO(7月)
『フィーバークィーンⅡ』のリメイク系譜。巨大ドラムを搭載し、「クィーンⅡモード」と「ネオクィーンモード」をビクトリーボタンで切り替えられるのが最大の特徴。JX/MX/クィーンⅡ復刻/現金機DXと展開が厚く、70万台撤去の直後にホールへ並んだSANKYOの主力のひとつ。
調べたこと
大当り確率は型式により1/200.4〜1/348.6、確変時1/50〜1/78。
サムネイルはYouTube公式が提供する画像です。クリックすると各動画のページが開きます。
全機種一覧
2004年に導入された488機種を、導入月の順に並べています。種別ボタンで絞り込めます。
読み込み中…
年表でも同じ一覧を見られます。 2004年の全機種を年表で見る →
第五章
あの頃の空気 ── ネット、セカチュー、携帯ゲーム機
この年、インターネットの中から新しいヒーローが生まれた。3月14日、匿名掲示板『2ちゃんねる』の独身男性板に、電車内で酔った女性を助けた青年の投稿が始まる。名もなき彼を、見知らぬ大勢の住民が励まし続けた一連のやり取りは、のちに『電車男』と呼ばれ、10月22日には新潮社から単行本として発売、大きな話題になった(映画化・テレビドラマ化はいずれも翌2005年)。同じ年の3月3日には、日本初期のSNSのひとつ『mixi』が正式サービスを開始。パソコンや携帯電話を使った、顔の見えないつながりが、少しずつ日常に入り込み始めていた。
恋愛モノでは、いわゆる『セカチュー現象』が起きた年でもある。片山恭一の小説『世界の中心で、愛をさけぶ』が、5月に映画化(主題歌は平井堅『瞳をとじて』)、8月にはTBS系でドラマ化(主題歌は柴咲コウ『かたち あるもの』)と、同じ原作が同じ年に映画とドラマの両方で大ヒットする珍しい現象になった。テレビでは、NHKで放送された韓国ドラマ『冬のソナタ』が中高年女性を中心に社会現象的な人気となり、主演のペ・ヨンジュンが「ヨン様」の愛称で呼ばれた——のちに定着する韓流ブームの出発点である。8月のアテネ五輪では北島康介の「チョー気持ちいい」が流行語大賞になり、明るいニュースとネット発の物語が同じ年の空気を作った。
おもちゃ売り場では、久しぶりの行列ができた。バンダイが3月に発売した『ケータイかいツー! たまごっちプラス』——通信機能を強化した新型たまごっちが、1996〜97年の初代ブームに続く『第2次たまごっちブーム』を巻き起こし、発売直後は品薄と入荷待ちの列が各地の玩具売り場にできた。少年誌の世界では、前年末に連載が始まった『DEATH NOTE』(週刊少年ジャンプ)が本格的に注目を集め始め、『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』とあわせてジャンプの看板を支えていく。
年末には携帯ゲーム機の激戦も始まった。12月2日、任天堂がニンテンドーDS(15,000円)を発売し、その10日後の12日にはソニーのPSPが続く。2画面タッチのDSと「21世紀のウォークマン」を掲げたPSPが、同じ年末商戦でぶつかり合った。ホールでは70万台が消え、エヴァが始まり、家ではDSとPSPが棚を争う——2004年の「次の遊び」は、内側と外側で同時に切り替わっていた。
この年の顔
その年のCMには、当時よく見た顔がそのまま映っている。街の記録や、公式チャンネルに残っている映像とあわせて。
たまごっちプラス CM(2004年) ── 3月発売、第2次たまごっちブームを巻き起こした通信対応の新型たまごっちの当時のテレビCM。
2004年CM集 ── その年に流れていたCMをまとめた懐かしの映像。当時の商品・タレント・空気感がそのまま残っている。
ニンテンドーDS CM集 2004〜2005年 ── 12月2日発売。発売当時のテレビCM映像。
PSP CM集 2004〜2005年 ── 12月12日発売。同じく発売当時のテレビCM映像。
動画はYouTubeの公開プレイヤーをそのまま埋め込んでいます。
第六章
70万台が消えた夏 ── 規則改正と4号機の終わり
2004年7月1日の規則改正は、単なる「また自主規制」ではなかった。1990年改正から約14年ぶりの
大きな改定で、パチスロ側では出玉性能を支えてきた仕組みに明確な線が引かれ、のちに
5号機と呼ばれる世代の前提がここで示される。直前まで続いた4.5/4.7号機の攻防——
技術介入、AT、ストック——は、この夏を境に「あとどれだけ持つか」のフェーズへ入っていく。
現場でいちばん刺さったのは、数字だった。約70万台の「社会的不適合機」が自主撤去され、
ホールの島からなじみの顔ぶれが一気に消えた。プレイヤーにとっては「昨日まで打てた台が、
ある日から無い」。経営側にとっては、床面積と収支の再設計を迫られる夏だった。撤去の穴を
埋めるように新台は増え続け、この年だけでP-WORLD上確認できる導入は495機種にのぼる。
そして年末、ビスティの『CR新世紀エヴァンゲリオン』が版権タイアップの号砲を鳴らす。
消えた70万台と、始まったエヴァ——2004年は「終わり」と「始まり」が同じカレンダーに
重なった年として、あとから何度でも振り返られることになる。
規則が変わり、島が変わり、版権が主役になる。
2004年のホールは、次の十年の設計図を先に見せていた。
第七章
数字で見る2004
15,617軒2004年の全国パチンコホール数
約70万台7月、遊技規則改定で自主撤去された「社会的不適合機」の台数
203,557円2004年の大卒初任給平均(事務系・経団連調べ)
10日ニンテンドーDS(12/2)とPSP(12/12)、日本発売日の差
約83.4万枚「瞳をとじて」(平井堅)のオリコン年間売上。2004年年間シングル1位
488機種この年に記録として残っているパチンコ・パチスロの数
4円貸玉料金。1979年から据え置き、この後も長く変わらない
2004年10月23日新潟県中越地震
チョー気持ちいいアテネ五輪・北島康介の言葉が年間流行語大賞に