特集 ─ 平成8年

1996

大工の源さんと、
CR機が主役になった年。

2月27日、任天堂が『ポケットモンスター 赤・緑』を発売。6月17日号の『週刊少年ジャンプ』では『SLAM DUNK』が最終回を迎え、 6月23日にはNINTENDO64が、11月23日にはバンダイの『たまごっち』が店頭に並んで、翌年にかけて品薄と行列の社会現象になっていく。 世の中ではO157集団食中毒とアトランタ五輪が話題になり、街には安室奈美恵を真似た「アムラー」が溢れていた。 そしてホールでは、この年ついにCR機の比率が全店の73%に達し、名実ともに主役の座についている。 中でも三洋物産の『CR大工の源さん』は、当時のパチンコ攻略誌が選ぶ「キングオブパチンコ大賞」で1位、年間4冠を達成する圧倒的な人気を見せた。 そして12月、北電子から『ジャグラー』が登場する——このときはまだ誰も、これが以後30年近く続くシリーズの第一歩になるとは知らなかった。

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第一章

CR機が、名実ともに主役になった年

1996年のホールは、もう完全にCR機の時代だった。CR機の比率はこの年ついに全店の73%に達し、 現金機はすでに少数派になっている。プリペイドカードを差し込んでハンドルを握る、その光景が ホールの当たり前になった年である。

中でも圧倒的な人気を集めたのが、三洋物産の『CR大工の源さん』だった。パチンコ攻略誌が選ぶ 「キングオブパチンコ大賞1996」で1位を獲得し、年間4冠という前例のない評価を集める。 「CR機史上最高のフルスペック+100回時短の爆発力」と評された出玉性能は、人気を缶コーヒーの 商品化にまで広げるほどだった。以後長く続くシリーズ「大工の源さん」の、これが記念すべき 初代CR機である。

そして12月、パチスロの世界では北電子から『ジャグラー』が静かに登場する。GOGO!ランプが 光れば当たりが確定する「完全告知」という、それまでの4号機の常識を覆す仕組みを初めて搭載した 一台だった。同じ北電子から4月に出ていた兄弟機『サーカス3』——ファンから「ジャグラーの始祖」 と呼ばれる一台——の延長線上にある機種だが、この時点でこれが以後30年近く続く不動の定番 シリーズの第一歩になるとは、まだ誰も知らなかった。

CR機がついに全店の73%を占め、名実ともに主役の座についた年。
その足元で、まだ誰も気づかないまま、30年近く続くシリーズがひっそりと産声を上げていた。
第二章

ホールの中で、世の中で

🎰 ホールの中
🗾 世の中
1月
─
1日、globe「DEPARTURES」発売
2月
フィーバーメガポリス(SANKYO)
5日、Mr.Children「名もなき詩」発売(初週120.8万枚、当時のオリコン史上最高記録)/27日、任天堂『ポケットモンスター 赤・緑』発売
3月
─
6日、華原朋美「I'm proud」発売
4月
サーカス3、サーカスDX(北電子)/サーキットウルフ、パットマン、アクダマン(SANKYO)
10日、スピッツ「チェリー」/Mr.Children「花-Mémento-Mori-」発売
5月
フィーバー結婚の条件(SANKYO)/アラジンマスターX(サミー工業)
13日、久保田利伸 with NAOMI CAMPBELL「LA・LA・LA LOVE SONG」発売(ドラマ『ロングバケーション』主題歌)
6月
─
17日、『週刊少年ジャンプ』27号で『SLAM DUNK』が最終回/23日、NINTENDO64発売(本体25,000円、『スーパーマリオ64』同時発売)
7月
─
堺市などでO157集団食中毒/19日、アトランタ五輪開幕
8月
フィーバービッグパワフル(SANKYO)/ワイワイパルサー2(山佐)
4日、アトランタ五輪閉幕
10月
フィーバー花札(SANKYO)
─
11月
─
23日、バンダイ『たまごっち』発売——翌年にかけて品薄と行列の社会現象に
12月
ジャグラー(北電子)——GOGO!ランプの完全告知を初搭載、以後30年近く続く定番シリーズの初代機/フィーバーアラビアン(SANKYO)、ゲッターマウス(オリンピア)
─
通年
CR大工の源さん(三洋物産)——キングオブパチンコ大賞1位・年間4冠の最大ヒット/CRモンスターハウス(竹屋)、ナナシー(豊丸産業)、アクダマンSP(SANKYO)ほか、この年に記録として残るパチンコ・パチスロは計109機種(パチンコ69・パチスロ40)
流行語大賞は「自分で自分をほめたい」。ドラマ『ロングバケーション』(36.7%)
第三章

この年の音 ── 1996年のヒット曲/オリコン年間シングルランキングTOP15+拡充

名もなき詩 のサムネイル

名もなき詩 / Mr.Children ── 年間1位・230.9万枚(累計)。2月5日発売、初週120.8万枚は当時のオリコン史上最高記録。Mr.Childrenにとって史上3組目となる2度目の年間1位。

DEPARTURES のサムネイル

DEPARTURES / globe ── 年間2位・228.8万枚(累計)。1月1日発売、小室哲哉プロデュース。動画はglobe公式チャンネルが2016年(20周年)に新規制作したミュージックビデオ。

LA・LA・LA LOVE SONG のサムネイル

LA・LA・LA LOVE SONG / 久保田利伸 with NAOMI CAMPBELL ── 年間3位・185.6万枚(累計)。5月13日発売、ドラマ『ロングバケーション』主題歌で久保田利伸にとって初のオリコン週間1位・ミリオンセラー。

チェリー のサムネイル

チェリー / スピッツ ── 年間4位・161.3万枚(累計)。4月10日発売。タイアップ無しながら発売4週目にオリコン1位を獲得しミリオンセラーに。

花 -Mémento-Mori- のサムネイル

花 -Mémento-Mori- / Mr.Children ── 年間5位・約153.8万枚。4月10日発売、11thシングル。

空も飛べるはず のサムネイル

空も飛べるはず / スピッツ ── 年間6位・約143.2万枚。発売自体は1994年4月だが、年間売上集計で1996年の6位に入った。

愛の言霊 のサムネイル

愛の言霊〜Spiritual Message〜 / サザンオールスターズ ── 年間7位・約138.1万枚。1996年5月20日発売。

I'm proud のサムネイル

I'm proud / 華原朋美 ── 年間8位・約137.2万枚。3月6日発売、小室哲哉プロデュース。

ミエナイチカラ のサムネイル

ミエナイチカラ〜INVISIBLE ONE〜 / B'z ── 年間11位・約123.6万枚(両A面「MOVE」含む)。1996年3月6日発売。映像はB'z公式チャンネル。

Real Thing Shakes のサムネイル

Real Thing Shakes / B'z ── 年間12位・約114.0万枚。1996年5月15日発売。この年のB'zはチャート上位に2曲を送り込んだ。

あなたに逢いたくて のサムネイル

あなたに逢いたくて〜Missing You〜 / 松田聖子 ── 年間14位・約108.9万枚。1996年4月22日発売。映像は松田聖子オフィシャルチャンネルのコンサート映像。

アジアの純真 のサムネイル

アジアの純真 / PUFFY ── 年間15位・約105.7万枚。1996年5月13日発売。奥田民生プロデュースのデビュー曲。映像はPUFFY公式MV。

これが私の生きる道 のサムネイル

これが私の生きる道 / PUFFY ── 年間16位・約105.7万枚。1996年10月7日発売。デビュー年に2曲ミリオン級で並ぶ、PUFFY旋風の象徴。

そばかす のサムネイル

そばかす / JUDY AND MARY ── 年間18位・約103.0万枚。1996年2月19日発売。アニメ『るろうに剣心』オープニングとしても広く知られた。

マイ フレンド のサムネイル

マイ フレンド / ZARD ── 年間19位・約100.0万枚。1996年1月8日発売。映像はzardofficial公開のライヴ映像。

動画はYouTubeの公開プレイヤーをそのまま埋め込んでいます。再生できない場合は動画側の設定によるものです。安室奈美恵「Don't wanna cry」(年間9位)「Chase the Chance」(10位)「You're my sunshine」(13位)もランクインしているが、公式・準公式と呼べる動画が見つからなかったため掲載を見送り、代わりに11位以降と16・18・19位を拡充している。

第四章

この年の台

1996年に記録として残っているパチンコ・パチスロは計109機種(パチンコ69・パチスロ40)。実機の写真は使えないため、当時の実戦動画・解説動画への入口として、YouTube公式のサムネイルを表示しています(対応する動画があるものだけ)。

CR大工の源さんの動画 ▶ パチンコ ─ CR機

CR大工の源さん

三洋物産

パチンコ攻略誌が選ぶ「キングオブパチンコ大賞1996」で1位を獲得し、年間4冠を達成したこの年最大のヒット機。「CR機史上最高のフルスペック+100回時短の爆発力」と評され、人気は缶コーヒーの商品化にまで及んだ。長寿シリーズ「大工の源さん」の記念すべき初代CR機。

調べたこと

大当り確率 1/369.5〜1/438.5、出玉 約2300、賞球 5&10&15。

ジャグラーの動画 ▶ パチスロ ─ 4号機

ジャグラー

北電子(12月)

GOGO!ランプが光れば当たりが確定する「完全告知」を初めて搭載し、目押しの技術も専用のリーチ目を覚える必要もないという、それまでの4号機の常識を覆した一台。以後30年近く続く不動の定番シリーズの、記念すべき初代機。

調べたこと

BIG確率 設定1で1/297.9〜設定6で1/240.9、REG確率 設定1で1/655.4〜設定6で1/364.1、機械割 設定1で94.9%〜設定6で107.1%。

サーカス3の動画 ▶ パチスロ ─ 4号機

サーカス3

北電子(4月)

同じ北電子から、ジャグラーに先駆けて登場した兄弟機。ファンの間では「ジャグラーの始祖」とも呼ばれ、ピエロ柄が光る告知の仕組みは、この年末に登場するジャグラーへと直結していく。

調べたこと

BIG確率 設定1で1/321.0〜設定6で1/241.0、REG確率 設定1で1/431.0〜設定6で1/298.0。

CRモンスターハウスの動画 ▶ パチンコ ─ CR機

CRモンスターハウス

竹屋

大当り確率1/367というスペックと、確変連チャンでドル箱を積み上げる爆発力で人気を集めた、竹屋を代表するCR初期のヒット機。

調べたこと

大当り確率1/367(1/52)、賞球5&15。

ナナシーの動画 ▶ パチンコ ─ 一般電役

ナナシー

豊丸産業

一般電役の代表格。大当り約1/400、確変突入は最大2回までループするシンプルな仕組みで長く愛された。豊丸産業を象徴するロングセラーシリーズの一台。

調べたこと

大当り確率 1/158、出玉 約2300、賞球 7&13。

アクダマンSPの動画 ▶ パチンコ

アクダマンSP

SANKYO

1996年4月、SANKYOはパットマン・アクダマン・サーキットウルフの3機種を同時発売した。アクダマンはのちにSP仕様も登場するほどの人気で、ファンからは「大好きだったパチンコ」の一台に挙げられている。動画はSANKYO公式チャンネルの「もう一度打ちたい!」シリーズより。

調べたこと

大当り確率 1/20〜1/15、出玉 約6000、賞球 7&15。

フィーバーメガポリスの動画 ▶ パチンコ

フィーバーメガポリス

SANKYO(2月)

立体的なキューブ型ドラム「メガドラム」を搭載したSP仕様が有名。大当り確率1/241、賞球7&15、最高継続16R、確変突入率1/4(図柄「7」または「F」)で、確変終了後は50回転の時短が付く。電源投入直後は小デジタルの回転が短縮される「モーニング機能」も備えていた。SANKYO公式チャンネルの「もう一度打ちたい!」でも振り返られている。

調べたこと

大当り確率1/241、賞球7&15。

フィーバーアラビアンの動画 ▶ パチンコ

フィーバーアラビアン

SANKYO(12月)

ドラムにアラビア風の図柄が描かれた、この年を締めくくるフィーバーシリーズ機。連続予告からのリーチ演出が持ち味。

調べたこと

大当り確率は型式により1/227〜1/251。

CR竜王伝説Zの動画 ▶ パチンコ ─ CR機

CR竜王伝説Z

豊丸産業

1996年に豊丸産業が発売した2回ループ確変のCRデジパチ。大当り確率は約1/389(確変中約1/55.6)、賞球5&15、確変突入率7/22で以後2回継続。図柄「七・ド・ラ・ゴ・ン・伝・説」の中が赤で止まると確変突入。白黒のドラゴンフラッシュは確変大当り確定のプレミアとして語られる。

調べたこと

大当り確率1/389、賞球5&15。

キングガルフの動画 ▶ パチスロ ─ 4号機

キングガルフ年 要確認

大東音響

4号機。設置店ごとに大きく改造され、「状態」に入ると数十ゲーム以内にボーナスが連チャンし続ける裏仕様が横行、この不正改造にメーカー自身が関与していたことが発覚し、大東音響は業界から姿を消した——4号機時代の裏側を象徴する一台。

調べたこと

機械割 設定1で93.5%〜設定6で108.0%。

タコスロの動画 ▶ パチスロ ─ 4号機

タコスロ

瑞穂製作所(10月)

フル攻略(小役目押し+リプレイハズシ)すれば設定1でも機械割105.9%に達する当時屈指の激甘スペックで知られ、目押しでBARを上段にビタ押しできれば「4コマスベリ」から白7が激熱という独特の制御が持ち味。瑞穂製作所は1991年の不正発覚による検定取消処分以来5年間新台を出せず、本機が同社初の4号機だった。旧データで「山佐」としていたのは誤りで、正しくは瑞穂製作所。

調べたこと

BIG確率 設定1で1/273〜設定6で1/241、REG確率 設定1で1/468〜設定6で1/364。

ゲッターマウスの動画 ▶ パチスロ ─ 4号機

ゲッターマウス

エレコ(11月)

右リールのネズミ3匹「イチロー・ジロー・サブロー」による大量リーチ目が持ち味の4号機Aタイプ。設定1でもフル攻略時の機械割は100%を超える甘さで知られ、翌1997年には打ち出しを抑えた等価仕様の後継機『ゲッターマウス2』が出るほどだった。旧データで「オリンピア」としていたのは誤りで、正しくはエレコ(ECJ)。

調べたこと

BIG確率 設定1で1/292.5〜設定6で1/240.9。

パチスロ ─ 4号機

アラジンマスターX年 要確認

サミー工業(5月)

集中役「アラジンチャンス」を継承したA-Cタイプ4号機。1991年の検定取消で3-2号機『アラジンゴールド』がお蔵入りとなった「悲運のアラジンブランド」を復活させた1995年7月の『アラジンマスター』に続くバージョンとされる。ただし発売年はUndumped Wiki等で1996年5月と記録される一方、P-WORLDのデータベースは1995年表記のままで、資料により発売年の記述が食い違う。

調べたこと

BIG確率 設定1で1/420.1〜設定6で1/303.4、REG確率 設定1で1/409.6〜設定6で1/364.0。

ワイワイパルサー2の動画 ▶ パチスロ ─ 4号機

ワイワイパルサー2年 要確認

山佐(8月)

累積販売台数23万台という空前の大ヒットとなった山佐の4号機第1弾『ニューパルサー』の直系後継機で、4号機「パルサー」シリーズ第2弾。伝統の「山佐型リーチ目」「チェリー付きハサミ目」を継承しつつ、新たに「枠内チェリー4個以上停止」でもボーナス確定という出目法則を追加した。導入月はP-WORLDが1996年1月、実戦記事は「1996年春」とするなど資料により差があり、本データではslothistoryの8月表記のまま残している(要確認)。

調べたこと

BIG確率 設定1で1/293〜設定6で1/241、REG確率 設定1で1/655〜設定6で1/364。

パチンコ

フィーバー花札

SANKYO(10月)

花札柄をあしらった、和のテイストのフィーバーシリーズ機。

調べたこと

大当り確率は型式により1/230〜1/359。

パチンコ

パットマン

SANKYO(4月)

1996年4月、アクダマン・サーキットウルフとともに同時発売されたSANKYOの一台。大当り確率1/61、賞球5&13、確変時は次回まで1/2で継続。中央上部の10穴回転体のうち5穴がゴルファー役物へのステージに通じており、そこに辿り着いた玉をゴルファーがパッティング、カップインするとデジタルが変動するという独特の演出を持つ。

調べたこと

大当り確率 1/61、賞球 5&13、確変時は次回まで1/2で継続。

サーキットウルフの動画 ▶ パチンコ ─ 一般電役

サーキットウルフ

SANKYO(4月)

F1マシンをかたどった役物と複数の電チューを組み合わせた2回ワンセットの一般電役タイプ。1994年発売の『ポールポジション』と同じ役物を使うが、ポールポジションが2回権利物だったのに対し、本機は電チューの連動で出玉を得る一般電役に仕立て直されている。中央デジタルで「77」が揃うとセンター役物への入賞が可能になり、V入賞すると右側の電チューが開放される仕組み。

調べたこと

大当り確率1/264、賞球6&13。

サムネイルはYouTube公式が提供する画像です。クリックすると各動画のページが開きます。

ほか92機種。 1996年の全機種を年表で見る →

全機種一覧

1996年に導入された109機種を、導入月の順に並べています。種別ボタンで絞り込めます。

読み込み中…

年表でも同じ一覧を見られます。 1996年の全機種を年表で見る →

第五章

あの頃の空気 ── アムラーとジャンプの転換点

この年、渋谷や新宿の街には、安室奈美恵の格好を真似た若者たち――「アムラー」が本格的に溢れ出した。 ブームの兆しは前年からあったが、最盛期を迎えたのはこの1996年だとされる。剃り落としたように描く 極端な細眉、日焼けサロンで焼いた浅黒い肌、茶髪のロングヘア、ミニスカートに厚底ブーツ―― 1970年代ファッションの復活とLA仕込みのスタイルが混ざり合った、当時の10代女性を象徴する装いだった。 街のあちこちにあったプリクラ機の前には、そんな格好の女子高生たちが列をなしていた。

本屋・コンビニの棚でも、大きな区切りがあった年だった。6月17日発売の『週刊少年ジャンプ』27号で、 『SLAM DUNK』が最終回を迎える。前年に『ドラゴンボール』が、この年に『SLAM DUNK』が、と 看板作品が立て続けに終わったことで、1995年に653万部という歴代最高部数を記録したジャンプの発行部数は、 この年を境に減少に転じていく。入れ替わるように、この年の誌面には新連載として『遊☆戯☆王』が 登場している――のちに世界的なカードゲームへと育っていく作品の、まだ誰も知らない出発点だった。

音楽チャートのほうは、小室哲哉プロデュースのglobe・華原朋美と、安室奈美恵の連発ヒットが 街のスピーカーを埋め、そのあいだにMr.Childrenやスピッツ、B'z、PUFFYが並ぶ——いわゆる 「小室ファミリー」とバンド/新しい女性ユニットが同居する年だった。プリクラ機の前で ポーズを決め、CDシングルを買い、夜はホールでCR機やジャグラーを打つ。遊びの入口がいくつも 同時に開いていたのが、1996年の手触りだ。

ホール側でも区切りがある。CR機の比率はこの年ごろには全店の7割台へ達し、名実ともに主役へ。 12月には北電子の初代ジャグラーが登場し、「GOGO!ランプが光れば当たり」という完全告知が、 のちの定番シリーズの起点になる。外の街ではアムラー、中のホールでは源さんとジャグラー—— どちらも「わかりやすさ」が人気の核になった年として、後から振り返るとよく似ている。

この年の顔

その年のCMには、当時よく見た顔がそのまま映っている。街の記録や、公式チャンネルに残っている映像とあわせて。

1996年 TVCM集のサムネイル

【1996年】TVCM集 ── その年に実際に流れていたテレビCMをまとめた懐かしの映像。当時の商品・ファッション・お茶の間の空気感がそのまま残っている。

1996年 渋谷駅周辺のサムネイル

1996年の渋谷駅周辺 ── アーカイブ映像。当時の渋谷駅周辺を実際に歩いていた頃の街並み。

動画はYouTubeの公開プレイヤーをそのまま埋め込んでいます。

第六章

育てる遊びの年 ── たまごっちとポケットモンスター

2月27日、任天堂が携帯ゲーム機ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』を発売する。発売初日の出荷数は 赤・緑合計で約13万本、初週で約23万本と、この時点ではまだ穏やかな滑り出しだった。小さなモンスターを 捕まえ、育て、交換し合うという遊び方が本当の意味で社会現象になっていくのは、翌年以降アニメなどの メディアミックスが広がってからのこと。だが「集めて、育てる」という遊びの原型は、間違いなくこの 1996年に生まれている。

11月23日には、バンダイの携帯育成ゲーム『たまごっち』が発売された。手のひらサイズの卵型端末の 中で生き物を育てるという新しい遊びは、発売直後から入荷情報を聞きつけた人々が徹夜で店に並ぶほどの 騒ぎになり、品薄と行列の社会現象は年を越えて1997年にかけていっそう過熱していく。同じ年の6月23日には、 任天堂の新型ゲーム機NINTENDO64(本体25,000円)も発売され、『スーパーマリオ64』が茶の間の話題を さらっていた。ホールの外側でも、この年は新しい「遊び方」が次々に生まれた一年だった。

ポケットモンスター赤・緑 CMのサムネイル

ポケットモンスター赤・緑 CM(1996年) ── 2月27日発売『ポケットモンスター 赤・緑』の、発売当時のテレビCM映像。

たまごっち関連CM集のサムネイル

たまごっち関連CM集(1997〜1999年) ── 『たまごっち』は1996年11月23日発売だが、品薄・行列の社会現象として過熱したのは主に翌1997年以降。この映像は発売翌年〜数年後のCM集だが、当時の熱狂の空気が伝わる。

動画はYouTubeの公開プレイヤーをそのまま埋め込んでいます。

第七章

数字で見る1996

73%CR機が全店に占める比率。この年、名実ともにホールの主役になった
230.9万枚「名もなき詩」(Mr.Children)の累計売上。1996年オリコン年間シングル1位
1996年11月23日『たまごっち』発売日(バンダイ)。翌年にかけて品薄と行列の社会現象になる
25,000円NINTENDO64の本体価格。1996年6月23日発売、『スーパーマリオ64』が同時発売された
653万部『週刊少年ジャンプ』の歴代最高発行部数(1995年)。1996年27号で『SLAM DUNK』完結後、部数は減少に転じる
4円貸玉料金。1979年から据え置き、この後も長く変わらない
109機種この年に記録として残っているパチンコ・パチスロの数(パチンコ69・パチスロ40)
1996年2月27日『ポケットモンスター 赤・緑』発売日(任天堂)
1996年6月17日『週刊少年ジャンプ』27号で『SLAM DUNK』最終回
第八章

あなたの1996年

この年、あなたはどこで何をしていましたか。

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